ボルトに交差穴を施している製品で「バリ」のクレームを受け改善中です。
弊社にて加工を始める前に加工先様にて大変ご苦労していた製品で、設備を導入する際に「機内にてバリを処理する事」を前提に導入してしまったのですが、そのためにワンチャックにて全ての加工を出来るようにしています。

ココがそもそもの間違いだったかも知れません。
バリが出る→機内処理するためにワンチャックで全ての加工をする。
バリの発生を前提として加工していました。

もちろん切削加工ですし、被削材もSWRCH-10にてリダクション強め伸線で外側が硬く交差部付近が延性の有る材料なので、バリゼロにはならないでしょう。

材料も粘いしバリは必ず出る。だから修正をするため再加工をする。

こう思い込んだのが間違いでした。

特に、加工に使用したドリルにて再加工をすると、発生したバリは交差側の穴へ逃げ、仕方が無いので交差側からもう一度加工していましたが、結局は大きな穴に逃げていくので、バリ?塊状になり「バリ不良」としてお客様に見つけて頂きました。

ですので、バリを加工してはいけない。・・・取るものです。

でも機内にしても、機外での作業にしても交差穴のバリ取り作業をしたらコスト的に”ボルト”には合わなくなってしまうので、なるべくコストをかけない改善が必要です。

一番安くて、効果が上がる方法は「バリを出さない」たとえどんな条件でもバリを一度発生させてしまったら、ブラシ等で修正したとしても完全にゼロかどうか判りません。もともと発生させない事が、一番効果的な対策になります。

客先の理解が得られれば材料から見直し延性を押さえ快削性を上げる方が良いですが今さら変更も面倒なので、材料以外の切削条件を見直し出来るだけ少なくなるように加工してみました。

上の写真はΦ4.5穴と中央のΦ9穴の交差部を軸の横から撮った写真ですが、Φ9.0との交差部にバリが残っています。側面から開けるドリルの抜け際で削り代が無くなり塑性変形する事から完全な切削が出来ない場所になります。貫通穴ではこの部分でバリが発生する事から品質上の問題が発生したり工具破損の原因になります。

ドリルは正面を切削する工具ですので刃先は先端に施されています。リーマーは穴を仕上げる工具ですので側面を切削するよう作られ、エンドミルは両方が切削出来ます。バリを完全に無くすためには、おそらく側面も切削しないと無くならない気がしますが、側面抵抗が大きくなるので条件が厳しくなりコントロールが難しくなるかと思います。ネットで調べていたら「ゼロバリドリル」と言う商品を見つけました。ドリルとリーマーが複合したような刃先にしてありますが、材料に合うかテストしてみないと分からないですね、、でも、ボルトの加工に高い工具は合わないです。普通価格以下の工具で長持ちしてくれないと赤字になります。

少し残ってしまったバリは、φ8.5のステンレスブラシで取れると良いのですが、、

この機械は刃物台側にエアー供給を付けていなかったので今は出来ませんが、加工やブラッシングの後でクーラントで洗浄し、最後にφ9.0からパイプを挿入しブローが出来るように改修したいと思います。

現在の工具はセンタードリル+OSGφ9.0超硬ホールドリル5D+φ6.0 90度スチール製リーディング+φ4.5フラットドリル、各条件は普通です。φ9.0ドリルは排出されるキリコにより穴が痛むので再選定が必要・・刃先がもう少しS字上になっているものを探します。・・5Dだと少し長いのでもう少し短い物が有ると良いのですが、、

側面穴面取り工具の事前3D解析
(刃先の形状や逃げ角等を事前に把握したかったのでモデリングしてみました。)