加工してみました。
プログラム見本通りプログラミングしたらM64でのC軸結合時に「CONが0で移動指令出来ません」とエラーが出てしまい、メーカーサービスに電話して調べて頂いたら、軸結合前に原点セットG28を入れていたので、結合後に修正するようにして下さいとの事で、その通り入替たら無事走るようになりました。
旋盤でエンドミルを使うのは初めてだったのと、工作機械のミーリングとは回転主軸の剛性がだいぶ異なり、条件がなかなか定まらなかったりしたのですが、なんとか600個ほど加工してみました。

極座標補間モードのメリットとデメリット
メリットはワンチャックでいろいろな加工が同時に出来る事と倣い加工なので早い、短時間で加工出来ます。今回は各コーナーを丸めないで軌道上に抜いていますが、角Rを指示すれば抜け際のバリを押さえることが出来るのでバリが発生しません。・・今回も後で施す予定だったのですがバリが発生しなかったのでRを施していません。

写真なので見にくいと思いますが、二面に加工した中心辺りから切削目が変化しているの分かりますか?最初、なんだろ?と思い条件を変えたりしたのですが、考えてみたら主軸を回転させながらX軸を前後に揺動させ直接補間するので中心までは「押し」中心からは「引き」になるので、中心から切削目が変化します。寸法的には大丈夫ですが厳密な製品には向かない加工かも知れません。事前に加工イメージした際には全然気が付かなかったので、良い経験をしました。極座標補間モードではこの特性を意識してプログラムや加工をした方が良さそうです。たぶん内径側に使用する際はエンドミルの刃先方向を変えないと中央で痕が付くかも知れません。

極座標補間(中心線からの円周上座標を旋回させながら加工した)なので渦を巻くように加工されています。

デメリットは、正面回転工具しか使えないので加工可能な場所が限られます。倣いで面取りするためには工具を工夫するか、もう一つ工具が必要。
C軸旋盤が必要。
回転工具ユニットが高価。CADがないと座標の計算が面倒。

でも、いろいろな加工が出来ると仕事が取りやすいので、C軸旋盤を増やして行きたいです。異形の切削加工が増えたら精度向上出来るY軸制御付きもいつか導入したいと思います。ただ、旋盤は単純な構造だから良いので、メインは通常のターレット旋盤になります。初期の頃導入した旋盤はもうすぐ部品加工数が500万を超えるので、コスト重視の部品では単純で丈夫な機械が一番だと思います。

刃先にあたりが付いたせいか中心線上にあった模様が消えてきました。今回はコーナーR無しの図面指定でしたので切削加工していますが、異形体は冷圧で成型した方が断然安くなるので切削での対応は少ないと思います。
冷圧での異形体絞りでは1分間に80個以上の生産速度で加工出来、切削では2個しか加工出来ません。ただし金型加工ですので写真のようにコーナーRが必要になります。異形体では相手構造体との密着の都合でRが嫌われますが、製品単価に大きく影響します。(若干コスト高になりますが金型破損前提でもっと小さなコーナーRも可能ですが段流線を断ち切るのであまりオススメ出来ません。)

今回は製品なのでプログラムを公開出来ませんが、何か差支え無い加工をしたら極座標補間モードプログラムを掲載したいと思いますが、やってみてポイント・・まだまだ修正すべき点が有るので改善してから掲載します。(極座標上の動きを改善したくNCプログラムシュミレーターが必要で現在選定中)・・たぶん、普通に極座標補間するだけでは綺麗な製品にならない。