弊社で取得した特許6877798号の「請求の範囲」についてご説明します。請求の範囲は一項目ずつ箇条書きで記載され項目番号が付きますので「請求項」と呼ばれたり弁理士さんは「クレーム」と表現されたりします。

出願する発明に対して、権利化にあたり何を請求するかを記載した部分になります。


弊社出願書では、

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】  頭部と軸部を備え、  前記頭部の上面は、  中央に形成された凹み部と、  前記凹み部から径方向の外側に向かって形成され、上に凸に湾曲する湾曲部と、を有す る、ボルト。
【請求項2】  前記頭部は、前記軸部に対し軸応力を付加したときに、頭部の下面と軸部の外周面とが 交わる交点と前記凹み部の中心とを結ぶ方向にせん断応力線ができるように形成されてい る、請求項1に記載のボルト。
【請求項3】  頭部の下面と軸部の外周面とが交わる第1の交点と前記凹み部の中心とを結ぶ第1の線 分が、前記第1の交点と頭部の下面を含む水平面と軸部の中心軸とが交わる第2の交点と を結ぶ第2の線分に対し略45度の角度を有する、請求項2に記載のボルト。
【請求項4】  前記頭部の上面は、前記凹み部に対する高さが互いに異なる複数種類の前記湾曲部を有 している、請求項1~3のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項5】  前記頭部の上面は、前記凹み部に対する高さが相対的に高い複数の第1の湾曲部と、前 記凹み部に対する高さが相対的に低い複数の第2の湾曲部を有し、  前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部は、頭部の周方向に向けて交互に配置されている 、請求項4に記載のボルト。
【請求項6】  前記第1の湾曲部は、隆起部を構成し、  前記第2の湾曲部は、溝部を構成する、請求項5に記載のボルト。
【請求項7】  前記第1の湾曲部は、頭部の上面の中心側から外側に向かって、周方向の幅が次第に広 くなり、その後次第に狭くなる形状を有する、請求項5又は6に記載のボルト。
【請求項8】  互いに隣り合う前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部は、立ち上がり壁により接続され ている、請求項5~7のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項9】  前記第1の湾曲部の外側端部は、前記頭部の外周縁よりも頭部の中心側に位置している 、請求項5~8のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項10】  前記頭部の前記第1の湾曲部の外側には、前記第1の湾曲部よりも相対的に低い外側低 部が形成され、  前記第1の湾曲部の外側端部と前記外側底部は、立ち上がり壁により接続されている、 請求項9に記載のボルト。
【請求項11】  前記第1の湾曲部の外側端部における頭部の厚みは、軸部の外径に対し35%以上60 %以下である、請求項5~10のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項12】  前記第2の湾曲部は、頭部の上面の中心側から外側に向かって、周方向の幅が次第に広 くなる形状を有する、請求項5~11のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項13】  前記凹み部は、下に凹んだ湾曲形状を有し、  前記凹み部と前記湾曲部は、滑らかに接続されている、請求項1~12のいずれか一項 に記載のボルト。

上記となっていますが、


特許庁より「拒絶通知」を頂き補正をしていますので、補正内容を加えますと、以下になります。

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】  頭部と軸部を備え、前記頭部の上面は、中央に形成され、下に凹んだ湾曲形状の凹み部と、前記凹み部に連 続的に接続され、前記凹み部から径方向の外側に向かって上昇しその後下降するように形 成された、上に凸に湾曲する湾曲部と、を有し、前記頭部の上面は、前記凹み部に対する 高さが互いに異なる複数種類の前記湾曲部を有している 、ボルト。
【請求項2】  前記頭部は、前記軸部に対し軸応力を付加したときに、頭部の下面と軸部の外周面とが 交わる交点と前記凹み部の中心とを結ぶ方向にせん断応力線ができるように形成されてい る、請求項1に記載のボルト。
【請求項3】  頭部の下面と軸部の外周面とが交わる第1の交点と前記凹み部の中心とを結ぶ第1の線 分が、前記第1の交点と頭部の下面を含む水平面と軸部の中心軸とが交わる第2の交点と を結ぶ第2の線分に対し略45度の角度を有する、請求項2に記載のボルト。
【請求項4】  前記頭部の上面は、前記凹み部に対する高さが相対的に高い複数の第1の湾曲部と、前 記凹み部に対する高さが相対的に低い複数の第2の湾曲部を有し、前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部は、頭部の周方向に向けて交互に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項5】  前記第1の湾曲部は、隆起部を構成し、前記第2の湾曲部は、溝部を構成する 、請求項4に記載のボルト。
【請求項6】  前記第1の湾曲部は、頭部の上面の中心側から外側に向かって、周方向の幅が次第に広 くなり、その後次第に狭くなる形状を有する、請求項4又は5に記載のボルト。
【請求項7】  互いに隣り合う前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部は、立ち上がり壁により接続され ている、請求項4~6のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項8】  前記第1の湾曲部の外側端部は、前記頭部の外周縁よりも頭部の中心側に位置している、請求項4~7のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項9】  前記第1の湾曲部の外側には、前記第1の湾曲部よりも相対的に低い外側低 部が形成され、前記第1の湾曲部の外側端部と前記外側底部は、立ち上がり壁により接続されている、 請求項8に記載のボルト。
【請求項10】  前記第1の湾曲部の外側端部における頭部の厚みは、軸部の外径に対し35%以上60 %以下である、請求項4~9のいずれか一項に記載のボルト。
【請求項11】  前記第2の湾曲部は、頭部の上面の中心側から外側に向かって、周方向の幅が次第に広 くなる形状を有する、請求項4~10のいずれか一項に記載のボルト。

と補正していますので、弊社取得特許での請求項は上記となり、請求項12と請求項13が無くなりそれぞれの項目に含まれ、請求項1には二つの湾曲部の接続の仕方を詳細に記入しています。請求項12、13に関しては請求内容自体は変更されていないので請求項数が減りましたがクレームとしては変化していないかと思います。
その他の拒絶理由書への対応は「意見書」内にまとめられていますが当意見書は、私には絶対に書けそうに無い意見で主張されプロフェッショナルな仕事を感じます。私は本当にアイデアだけで弁理士の先生はじめ東京都知的財産総合センター相談員の方、特許庁担当官の方、その他多くの方のお力があって権利化されています。

拒絶理由書にて担当官の方が湾曲部接続について拘られた理由は「請求項の従属」に関り、基本的には請求項1の内容が最も権利範囲が広いので請求項1に記載された内容に関して明確さを求められたと理解しています。これは、例えば今後PCT出願等の外国出願があれば、その際にも問われる内容となりますので特許庁にてよく精査頂いたと思います。
従属に関しては請求項1を起点にし、番号が多いほど「請求項4~10のいずれか一項に記載のボルト」のように従属した関係で請求の範囲をまとめて行く記入の仕方です。


出願書類での請求項は補正を経て内容が異なりますので、「出願書」「拒絶理由書」「手続き補正書」「意見書」が揃って権利化された内容となります。

特許は独特でかなり解りにくいのですが、取得した特許を題材にご説明できる範囲でブログ更新していきたいと思います。