普通のCADなら出来る事で今さらなんですが、、
CADがFUsion360に変ってボルトのモデリング方法もだいぶ変わり、以前の国産CADに比べ細かなディテールの再現がしやすくなりました。
アイキャッチ画像はM6フランジボルトの冷間鍛造時のダレをJIS規格下限ギリギリに表現しています。通常の予備成型と上面のアプセット形状でステンレスを打つとこんな感じにダレが大きくなってしまいます。

行程の都合や、コスト的な兼ね合いで標準の予備形状を使い生産することもあり、お客様への提案図には事前にダレが発生する旨を謳う必要がありアイキャッチ画像のようにモデリングしてご説明しています。

Fusion360になって助かっているのはこのダレ表現を以前のCADでは自由曲線(ベクター無し)にて切取り編集していましたが、切取り後のモデルを見てから再編集する際にスケッチだけ編集しモデル反映が出来なかったのでスケッチまで戻り書き直して再度モデル化して切り取る手順でしたので面倒なので適当なところで妥協していました。

Fusion360は手前の操作でもその位置に戻り編集が出来て最終モデルまで反映してくれることと、ベクターの自由曲線なので曲線の編集が自由に出来ます。

ダレ部編集後

このパターン以外にも、丸い材料からの鍛造なので、どうしても金型充填が出来ない箇所が発生しお客様に「ダレます」と説明するのですが、文章や二次元図ではなかなかニュアンスが伝わらないので、細かなディテールをモデリング出来るようになり打合せが楽になります。先日も客先と形状打合せがありリモートミーティングでしたのでFusion360を開きスケッチを編集しながら「このぐらいでしょうか?」と形状を編集しながら打合せが出来ました。以前だと来社頂いた際に類似形状サンプルをサンプルケースから探し説明していたのですがサンプルも膨大なので、ちょうどよいものを探すのに苦労していました。

弊社のプロジェクターがだいぶ古いもので明るさも解像度も低く多人数でのミーティングには向いていないので、リモートは便利です。

ここのHPのトップページにあるアニメーションを作る際に気が付いていなかったのですが、あのアニメのように鍛造解析をするときもこの編集機能とコピーを組み合わせればボリュームが同じになるよう形状を変化させやすいと思います。
もうあまり鍛造設計をしなくなったのでさほど効果が無いのですが、以前に使えていればもっといろんな形状に取り組めたと思います。もしかしたら鍛造解析ソフトよりは早くて正確に出来ると思います。(頭にある画像をモデリングするだけなんで簡単な事と、頭の中の画像は計算されていないので不正確)・・むかし手書きで方眼紙に書いていた感覚と似ています。工程設計図をCAD(二次元)で書くようになって細かなディテールを入れ無くなったら設計能力が低下してしまい、その後にCADでもちゃんと書くようにしました。鍛造の設計って細かいところが大切ですね、、いつも正確に予測する習慣にしないと自分でもわからなくなってしまいます。ぱっと図面をみた瞬間に結果が見えないと仕事にならないので、まじめに書いています。今は三次元なので本当に楽になったのと、頭で思い浮かぶカタチも三次元化されました。便利な進化ですね 笑

でも本当は、方眼紙に正確に丁寧に「絶対に当てるぞ!」と毎回書くのが一番良いです。
線の1本1本に気持ちを込めて書くと当たりが出ます。なんとなく書くと気にもしないし外れです。だからCADはダメ・・結果として現れる線は工程図には使えない。線を描き結果を当てるのが仕事で、結果を繰り返し線に反映し精度を上げるのが目的です。
3DCADは粘土細工に似ているので、工程図には合っています。特にワイヤーからの冷間鍛造にはピッタリ、中心線から回して切り取ると・・製品そのもの

レンダリング画像(SUS304ダレ部は表面粗さを若干粗くしています)

Fusion360のSUS304にてレンダリングすると上記のようになりますが、実際に近づける時は実物の写真を撮り画像をそれぞれの面に切り取って張ると実物と同じ印象になります。遠目には識別出来ないと思います。・・背景や照明まで設定すれば現実との差は殆どなくなり、説明されなければ分からないと思います。