お花のねじ開発は製品設計自体が要求事項が無い自由設計でしたので、アプセット鍛造の基本に戻りなるべく材料を“虐めない”設計とするため、教科書通りのストレートとテーパーからなる「普通の1番」で形状を出す事に決め製品設計を行いました。
また、製造コスト削減のために非調質鋼での生産も前提とし、出来るだけ粘り強く、デッドフローの少ない形状を目標としています。

Helico駆動部形状と花形は事前に決まっていましたので、上面形状はアプセット時に自然と花形となるよう金型に放射状の凹凸を設け異形に導くようリードを設け回転転造と同じようにボリュームを上下に振り分け結果として駆動部充填がされるよう設計しました。

鍛造品らしさが特徴になっています

基本的な高い打点の予備形状から、出来るだけ大きな外径を得て、粘り強さを持たせるために頭部断面形状をm字形に設計しデザイン的な都合と応力解析での結果から接円弧で接続されたゆるやか形状としています。普通の1番の端面にパンチが接触した際にソフトな当たりと一気に外周へ向け放射出来るアプセット断面にしてあります。上面放射凹凸と合わせ加工ストローク開始点から末期まで外周に向かいボリュームを放射するよう設計しました。
ストローク末期では外径をゆるやかに押さえ形状を安定させるため外側アーチで押さえ込む形状にしましたが、駆動部充填位置にデッドフローが発生しないよう位置を調整し外径にも金型非拘束部を大きく取りました。

上のアニメーションは設計時にストローク内を解析(経験値から感覚)した10コマ程度の原形からアニメーション用に補間しています。

設計時に使用したチャート

普通の1番→上記パンチ形状のボリューム変化として正しいとは思いますが、ただの経験からの解析ですので、異なっている場合はご指摘頂けると助かります。アニメーションではアプセットから放射され外周アーチ頂点に向かい放射されて行く様が確認頂けるかと存じます。外側アーチ頂点を過ぎた辺りから座面側アンダーカット部に施した傾斜により倒され上面側が外に向う力を維持しています。
試作01でのファイバーフローは、通常よりかなり高い位置に屈折部が有りましたので、パンチ側寄りに加工されている事が解ります。実際にはもう少しパンチ側が早い気もしますが試作時に時間が取れなく実際を確認していません。試作02時に余裕があればサンプリングしアニメーションを修正したく存じます。

写真やアニメーションでは各位置関係がわかりにくいので3Dモデルのリンクを下に貼付します。
Fusion360閲覧リンクで通常ブラウザにて操作可能で、慣れれば断面等表示可能です。

この製品では上面中央にあるリードがポイントとなります。下に試作01での写真を示すますが、金型制作時の電極を一体化で作ったために中央までリードが再現が出来なく設計通りに出来ていません。

試作01

*設計及び権利化された内容は製法では無くあくまで製品形状ですので、機種選定の都合やステンレス、チタン等の材質への対応で異なる予備形状でも良いと思います。

PAT . 6877798