一般的なボルトとHelicoのモデル比較とねじ部への影響を調べる為にねじを付けて引張り解析をしてみました。

条件は 両ボルト共にM8 P1.25 首下22.5(HP) 材質は鍛鉄(生)、締結体∮50×10軟鋼 ナット∮50×10軟鋼 ねじは 6g 6hの規格中心値で規格書通り描いています。引張荷重は10,000N 接触セットは「接着」(固定面及び荷重面は分離)、応力表示でのしきい値は同じにしてあります。変位表示でのしきい値はそれぞれ最大変位がHelico=0.03225mm、比較ボルト=0.0268mmと違っていますので、それぞれ最大変位をしきい値としています。ねじ解析ですのでメッシュは細かめにしてあります。(これ以上細かくするとあまり結果が良くありません。)
変化を時系列で比較できるよう動画にしてありますが、実際に動的な解析を実施した訳では有りません。全て静的な解析結果です。
※実存するボルトと比較したく無いので、ボルト頭部は六角ボルトの角径∮15×5.5としています。首元にはテーパーとR0.5を施しています。(座面径がHelicoより小さく高さも5.5ですのでアンダーカットは不利になるので施していません)

ボリュームはHelicoの方が少し少ないです。

締結体含む応力分布動画

Helicoのアライメント保持性が比較しやすいと思います。ボルト材質が柔らかい事とCAEでは鍛造品としての性質を再現出来ないので、構造体内部応力にノイズが若干入りますが、ある程度硬さのあるHelicoはツルツルのババロアのような分布になります。
比較ボルトの構造体におちょこ状の応力が分離してしまった部分が発生しますが、ボルトがせん断によりY字に変形し首元から圧縮していきますのでおちょこ状の応力が発生します。

頭部側面から変位比較(0.5倍表示)

頭部側面からの変位(変形)の比較です。
Helicoでは軸力が頭部を貫通し上面から伝わっているのが分かるかと思います。(緑と空色の位置を観察してください。)
全ねじで不完全ねじ山を小さくしたモデルを初めて解析してみましたが、ずいぶん軸太モデルと伝わりかたが変わっています。

頭部側面から応力分布比較(表示倍率0)

同じ側面からの応力分布です。
Helicoの座面応力分布から当たりが柔らかい事が見られると思います。
比較ボルトは∮15×5.5なので少し頭部径に対し頭が薄いかも知れません。

ねじ端面側からの応力分布比較

Helicoではアンダーカットテーパーと座面の間に強い応力が発生するのでRで若干丸めた方がきれいな分布になりますが、このモデルは丸めていません。(ここは大きさや角度、Rを研究する必要が有ります)
比較ボルトでは頭部外周より応力が発生しますが、ボルトY字変形に伴い構造座面がおちょこに変形するので、外周側より構造座面変形により応力が発生します。・・振動等でこの運動を繰り返すと座面陥没のプロセス?ボルト座面よりも構造座面が辛い事になっています。

ねじ部の応力分布比較

ねじ部の応力分布は、まるっきり一緒でした。
ここまで揃う事は珍しいのでたまたまだと思いますが、繰り返し検証しても違いは見つけられないかと思います。
比較ボルトは座面径が小さい(面積は同じ)ので若干曲がりが発生していましたが、ねじの引張りは大体が曲がるので少ない方だったと思います。・・・めねじ第一山でおねじ外径と交差接触部があり曲げてきます。(解析ではかなり曲がってしまうので初期ゆるみに関係すると思われます。45度面取りですと1山に満たない部位ですが、めねじ口元に有る不完全ねじ山では複雑な応力が発生しています。実際の締結では面積が小さく体力も無い部位なのですぐになじんでしまうと思いますが、面取り角を狭くする等で不完全に体力が出来たりすると危険かと思います。JIS通りが1番成績が良かった部分です。)