まだ登録証は手元に届いていませんが、出願していた「特願2022-80746」が令和4年8月25日に日本国特許庁にて登録されました。特許番号は「特許第7129737号」になり、今日から晴れてPATと表示出来ます。

この出願は出願前の関連項目全文献調査の際に2年前に出願された類似形状を見つけ、出願書のまとめに大変苦労した出願で、請求項1が通るとは思っていませんでしたので、請求した9項目全てを弊社希望通りの内容で一つも譲ることなく権利化出来た事にホッとしています。

出願タイトルが「雌螺子」としてあるのは、そのままの意味で雌螺子の構造に関わる出願ですが、既存の規格ねじ山を変更するカタチでは無く、一部に修正を加えられる内容となります。「雌螺子構造」ですので完全な新規ねじ山を作る事も可能ですが意味が無いと思いますので、修正用と捉えて頂いた方が意図に沿っています。

権利の範囲は「雌螺子の軸力が付加されるフランク面に第二のヘリカル状螺旋面を与え口元に向かい軸力が付加されるフランク面が谷径方向へと徐々に小さくなるよう形成された構造」が権利の範囲となります。出願書では先行文献と表現を変えるため立体的な形状で表していますが請求項1の内容は上記となります。もちろん先行文献に対し新規性も進歩性も有りますが、意識した文章にする事で審査官に対してちゃんと読んでいますよ!アピールをしています。

実際の審査では意識した出願は使われ無かったのですが、他の審査で引用されない理由は有りませんので、まだまだ分かりません。
そのための請求2以降なので万全だと思いますが、いつの審査でも確実にするよう努めます。

発明の目的は雄螺子の疲労軽減です。

その他、初めての形状ですので非回転ゆるみの低減が考えられますが、絶対的な効果としてはボルトの疲労破壊を防ぐ事が目的です。

ただ、権利範囲から図3~図7に示す形状も可能ですので、螺合部に発生する応力分布を自由に制御する事が可能ですので、実際にどのような効果を持つかは今現在は分かっていません。

(図6は拡大しないとカタチが分かりません)

この出願は「雌螺子」の構造で、関連する工具メーカー様に新たな市場を生める可能性と、ボルトの新たな可能性を作る事で、ねじ業全体での生産が伸びるかと思い出願しています。

また、極端にボルト疲労強度を改善する事で環境負荷を減らせるのでは?との願いも込めています。

出願は「雌螺子」ですが、目的は全てのボルトの強度を上げる事に有ります。

二つの螺旋面により、全てのボルトが本来の強度を取り戻します。

(口元第一山での問題を消失させ、螺合に新たな可能性を与えています)

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-7129737/2D61EA401F8F307B64F2A23E8B326CEBB9BF096DF2CC4CFD869B8E2C881FDF93/15/ja

出願書での応力分布(白黒でスミマセン)は、あまりカタチを変えると印象が良くないと思い軽めにしてあります。もっと切り取れば全然違う螺合特性になります。・・大きく特性を変える事が今の時点で正しいとは言えないので、最初はあまり切り取らない方が良いと思います。

拒絶理由の「変動」だと実際には動いていないものが動いているように感じられるとの指摘に対し、数値の変化と言う意味でより具体的な表現として「変動」にして有りましたが、文面の流れから確かに動くように感じられなくも無い事から「変化」と修正させて頂いています。ここは36条補正なので、あまり気にしないでください。補正せず意見書での対応でも通ったと思います。でも、せっかく良かれとご指摘くださって、直さないのも失礼なので、、

この拒絶理由書は、一番権利化が必要の無い請求項に対して36条補正での指摘だったので「優しさ」を感じ大変有り難く感じました。

1.切捨てても、良いのでは?

2.直しても良いよ

3.意見されても良いよ

この三つを言いたかったと思います。

切捨ては、先生の手前出来ませんでした。

知財センターの方からは、面接出来るのだから、お会いしてお話しを聞いた方が良いといつもアドバイス頂きますが「答えを聞かない、探らない」事が本筋なので、考え対応を決めています。対応記録に残るのも嫌なので、、

担当審査官の方が扱った出願は対応の際に全て調査させて頂きましたが、良く調査され毅然とした対応をされる方だと感じました。

意見書ではお礼も出来ませんので、この場で御礼もうしあげます。お気遣い頂き本当に有難うございます。

その他にも今回の出願に対して特許庁にて配慮頂き、誠に有難うございます。

発明に際して、個人的な疑問からCAD内での形状検討の結果から生まれていますが、Fusion 360での螺旋モデリングの際にフォーラムでお世話になった皆様に感謝させてください。

東京都知的財産総合センターの先生、またアドバイス下さった大学関係の方に感謝します。

また「螺旋の幾何学」をまとめられた三宅さんはじめ、紀元前から今まで螺旋に魅了された多くの方々に大変励まされました。本当にありがとうございます。

この一定の法則に気が付けなかったら、完成していません。