ねじによる締結構造に欠点がある訳では有りませんが、雌ねじ口元第一山付近では疲労破壊等の多くの問題を持っていますので改善が必要だと思います。また、各山への出来るだけ均等な応力を分布するためには第一山含め数山の形状を改善する必要が有ります。・・各山への応力分散は雄・雌ねじ山断面に弾性を待たせたりピッチを可変させるなど多数の案が有りますが、ここでは第一山での疲労軽減をメインに考えていますので、雌ねじ口元付近から数山付近までの形状改善で考えたく存じます。

通常の締結時の応力&変位      ↔      改善策

上の動画右側の通常の締結構造では雌ねじ口元第一山付近にて特徴的な応力が発生し変形の仕方にも偏りが見られると思います。動画では口元中央(軸線付近)のおねじ山頂付近に色が明るく見える接触部が発生し、左右のおねじ谷底は大きく開口してくので、第一山付近ではかなり複雑な応力と変形が発生しています。

改善策の方は、出願形状(特許出願中ページに記載)にて口元から3山程度を加工して有ります。口元にて雄ネジ外径と雌ネジの谷底付近が接触しないような構造となっています。雌ネジの螺旋面が内径側に向かい徐々に小さくなるようにして有ります。雄ネジは谷底から伸びるので、伸びが大きい螺合位置を徐々に雌ネジ内径側にての接触に変える事で軸線を保つ自然な変形となっています。
ゆるみ止め効果等は実証が無い事から判断できません。たとえ各山分散が進んでも軸線を真っすぐに保つ性質も有ったり変化する要素が多く結果として生じるネジのゆるみまでは予測出来ません。・・一般締結構造では口元で軸線を傾けクサビを打つような作用が発生しているように思われます。取ってしまうと回ってしまうのか、回らないのか、ゆるみ止めにはクサビ効果を謳ったものが多いので、私には判断が付きません。
螺旋締結体として、非常に素直でナチュラルな特性を持つ構造ですのでスムーズにゆるむかも知れませんし、有効な摩擦面を多く得られる事からゆるみ難いかも知れません。

いずれにせよ締結構造としては、口元第1山を一部除すべきだし、第3山付近までは徐々に変化させないと有効な摩擦力は得難いと思います。

通常の締結時の応力&変位      ↔      改善策
改善策の分散はさらに進められますが、当然ねじ有効長さが多く必要になります。

*上記「改善策」の断面形状を多くの方に見て頂きましたが「どこが違うか分からない」と指摘される事が多いので、断面でも拡大しないと違いが説明し難い形状です。・・出願書作成時に一番出願のネックになったのが請求形状です。文章で言い表し難い形状で図面化しても見難い、出願書なのでかなり誇張して図面化しましたが実物を見ても変化が分からないと思います。

発明品の嵌合状態透過図(CADで実寸通り)
白く着色した部分が有効フランク面で、通常フランク面をヘリカル状に変換しています。
一見非現実的な形状のようですが、出願書では当該形状が実現されると受け取れるよう記載を心掛けました。
実現の手段は「特許出願中」のページに記載されていますので3DCADでフランク面上に描けばすぐに理解頂けるかと存じます。
(モデリングする事で、おそらく旋削での加工方法も分かります。)
現実の修正タップ等の加工方法は工具メーカー技術も関りますので現在公開できませんが製品が出される際には発表されるかと思います。
*口元第一山付近の螺合面を非接触としたパターンです。(緩衝部1山)

以上が簡単な効果説明になり、雌ネジの口元付近応力を改善するためにヘリカル状螺旋面にて雄ネジ谷径側で螺旋が終わるよう二つの螺旋面を用いた出願になります。(上記写真の白っぽいフランク面が第一フランク面、グレーの面が第二フランク面)軸力が付加される前の接触状態では第二フランク面は非接触ですが、軸力負荷に応じて接触するよう設計してあり、その境界も有りません。