去年の予定で試作02は駆動部高さ変更と思い込んでいましたが、試作02は中心から伸びる放射線の改善でした。
試作01時に金型製作手順の都合で放射線が中央まで放射線が伸ばせなかったので、冷圧時にガイドされず花弁途中でクビれたように変形していました。

試作01

写真だとあまり変形が解りにくいのですが花弁中央部まで放射線が伸びていません。

完全に中心まで扇状の放射線が伸びるのが理想ですが試作02では金型作製手順を変え出来るだけ中央部近くまで伸びるようにしてみました。少しの違いですがモデリングに近付いて来ました。

試作02-(SWCH-10R)
試作02-(SCM-435)

まだまだ設計とは違い扇状の放射線が中央まで到達しないので花弁が若干変形していますが現物ではさほど気にならないレベルです。金型は今後改善していくとして形状確認の試作は終了して、駆動部高さ(2.4mm)と駆動部外周にAir穴を施した試作03を手配します。(高さへの対応とAir穴が製品に出てしまわない確認)
設計通り金型が出来ていないとモデリングの通り打てない金型屋さん次第の形状です。ここまで再現して頂けると思っていなかったので素晴らしい技術力だと思います。多軸加工機や三次元データが扱えるだけでは無理でしょう。電極の設計やギヤ体などに慣れているメーカーさんだから中心の線に近づいています。漠然としたHerico 形状なら何処でも出来ると思いますがモデリングに近づき達成出来るメーカーさんは国内に一社だけだと思います。・・一応金型部門出身なので電極から考えHelicoを設計しているのですが現実は難しい。でも、金型さえ作れれば打てる形状は久しぶりなので時間をかけても完成させたいと思います。

試作02はクロモリの後に鉄の材料に切り替え試作を実施しましたが、切断長さの調整だけでアダプター類は同じもので同寸法に加工されているのでスプリングバックが少ない形状のようです。

クロモリ材の方がくすんで見えますが、10RがD工程材でクロモリがDA工程材ですので焼鈍肌が残っていると思われます。
頭部外周の丸みに関しては下の動画のような鍛造プロセスで異形に変形させているので、歪みが無く真円に近く成形されています。

鍛造プロセス・・ポーズにしてスライドバーでコマ送りで観察できます。

予想プロセスアニメですが大体は合っていると思います。ただ、クロモリの地肌が妙に残っているのでもっとスベリが少ないかも知れません。外周に向かい外側のRで囲まれるのでちょっと判断が付かないです。鍛流線の観察では通常観察できないフローの屈折部上昇がみられるのでアプセット付近はかなり滑っています。アンダーカットの影響も有り難しくて私には解析不能です。設計も工程設計も出来るのですが理解とは別物ですね。悲しいかなフランジ2種ボルト等も同じですが工程設計をして予測通りの形状を鍛造する事は可能ですが、適切に鍛流線を配置したかと問われると自信無いです。・・ツバ形状と六角形状のためにフローはある程度妥協しています。ボルトは鍛造して頭を強くするのは難しい。これ書くと怒られそうですが、鍛造だから頭が強いと謳っているねじメーカーさんは少ないかと思います。冷圧品のボルトが弱い訳ではありませんが外観の形状だけでは無く鍛造品で有る限り内部メタルフローが”良好”であって欲しいと思います。