大概の3DCADには簡単にねじが描画できる「ねじコマンド」が付属されていますので、Fusion360でねじコマンドによりねじをモデリングし弊社モデルと比較してみました。
Fusion360でのねじのモデリング方法
描きたいねじ径の円柱を描きます。
長さは半ねじの場合でも全ねじの場合でも、軸部を含む首下長さで円柱台をモデリングします。
ソリッドタブの「作成」から「ねじ」コマンドを選択すると右写真の設定画面が表示されますので、円柱を選択し、ねじの各設定をしてください。(初期画面では基本的にねじ外径通りにねじを選択してあります)
ねじ長さを指定する場合は「全ねじ」の☑を外すと、各設定画面が出てきますので、ねじ長さを入力して下さい。オフセットは、あまり使わないと思います。
これで3Dねじがモデリング出来ます。
「スケッチ→円柱ソリッド化→ねじ」の3コマンドで完成します。
以上のように三次元CADでは簡単にねじをモデリング出来るようになっていますし、今回は「モデル化」していますがモデル化しなければとてもデータ容量が少なくて済みますし、二次元図面にする際などにそのまま図面化できます。
ですので、一般的な使い方で一番使いやすいのは標準ねじコマンドだと思います。
ただ、ねじ業での詳細モデリングやねじ部の解析の際に谷底R、山頂Rが無いと正確な解析結果が出せなかったり、谷底Rを変化させた際のCAE上の比較等が出来ないので、やはり自由に山形を螺旋展開出来ないと困りますので、ねじモデリングは必要になります。
上の比較画像で比べて頂くと、Rを付したモデルの方がリアルに感じられると思います。三次元でモデリングする意味はリアリティの追求ですので、ちょっとした質感の違いでも全体的なボルトやねじ類のモデル質感に影響を与えてしまい「ただ三次元でモデリングしたもの」となってしまいます。リアリティを追求すれば現実の製品群と完全に同じ画像が出来上がります。
Fusion360ねじコマンドでのねじ精度に関して、
右画像は弊社モデルとねじコマンドモデルを重ねて断面表示させたものですが、若干(有効径で0.001mm)Fusion360の有効径が大きく外径も若干大きいくらいで殆ど一致します。弊社モデルは6g規格の全て中央値でモデリングしてありますので、Fusion360でのねじコマンドモデルは規格の中央値付近での精度となっています。
ワイヤーフレーム表示で詳細に線の歪みを比較しても、ねじコマンド側をガラスにして干渉縞を観察しても両モデルとも歪み無く正確な螺旋軌跡を描いているので、同じようにモデリングしたもの・・・断面をソリッド化したのではなくワイヤーで表されている各線、各螺旋軌跡をソリッド化したものだと考えられます。
今回の検証で三次元CAD付属の「ねじコマンド」はとても高精度だとわかりました。
精度確認のため、それぞれメッシュを切り解析をしてみます。
メッシュ状態確認のためワイヤー非表示
Rの有無が有りメッシュを同じにすることは出来ませんが、他の条件を揃えメッシュもなるべく同じくらいになるよう設定し両側から引張荷重をかけてみました。
青から緑色に向かい応力が高くなっていますので、R付きのモデルの方が強い応力が発生しています。R無しモデルの方が谷径が太い分強度が高くなっています。Rが大きければ大きいほど強度が上がって行きますが、雌ねじ内径と干渉するので限界があります。
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