Helico螺旋では口元側に非接触部(軸力無負荷時にフランク面を非接触)を設けるよう設計する事も可能です。
静的な解析にてHelico状螺旋をいろいろ試した結果、円錐螺旋のHelico 状螺旋だけの場合は、口元第一山でのオネジ外周とメネジ螺旋末端の局所的接触は避けられ、オネジ疲労改善がされる様子も確認出来たのですが、口元側に非接触となる螺旋を持たせた方がオネジの口元位置に応力集中が減り疲労改善効果が高い事が確認出来ています。

線形解析では、非接触→オネジの変形→接触を表せないので、非線形静的解析による解析をしてみました。
下の動画はM20以上のボルトに70,000Nをかけ引っ張った時のメネジ(上側)オネジ(下側)を表す動画になります。軸力(引張り)は右側に向け引っ張っています。

450MPa付近までは非接触で、その後接触が始まる様子が観察できます。線形解析では結果として接触後の応力分布は何とか出せるのですが不正確な分布となってしまいます。非線形解析を用いればどのくらいの軸力で接触するか分かり非接触部の位置(ピッチ)を決めるのに役立ちます。

上記動画のメネジは細目なため山数が多いので問題は無いかと思いますが、非接触をあまり長くすると、有効なネジ山を失います。上記動画のメネジは設計上の必要性から非接触部を長く取っています。

写真中央付近にある応力が下がっている所はHelico螺旋から非接触部螺旋へと変化する場所で角度(ピッチ)が若干異なっています。
静解析の際はあまり目立たなかったのですが非線形静解析だと正確に出ます。

総合応力表示ですので見にくいのですが、上の画像右側矢印位置は圧縮応力が働き左側の通常フランク面には見られません。山形断面の角度に位相を付けると力の作用が変化して上の画像では口元付近数山ではメネジ山がせん断し難い構造となっています。一見、山が痩せているようですが主応力で支えるので十分な強度を持っています。左側の通常フランク面が右側のHelicoフランク面を支え、Helico螺旋面が有るから通常フランク面に十分な軸力が伝えられる。軸力変動に応じて、一条の螺旋の中で支え合う構造となっています。

メネジの口元部での応力集中が緩和され非螺合部谷底応力に近くなります。(上の動画で軸部への切り上がり部で応力集中が有りますが、処理形状も悪いと思います)