切削加工、金属を削る事は包丁やカンナで切ったり削ったりするのとは違い、刃の先端では弾性→塑性→破断とモノの物性そのものを全て発生させています。イメージ的には・・爪で肌を押してみて下さい。爪の形に変形しますね、このまま動かして行けば鋭い刃物なら切れてしまいます。切れて破断した薄い部分は爪の上面を滑って腕の方に流れて行く・・こんな感じが切削加工になります。
金属の弾性域を突破し塑性変形が発生するまで送り(力)を入力し刃物を動かすと鋭利な刃先ではいとも簡単に破断され少ない仕事量で加工が可能となっています。全部入りの欲張りで省エネな加工方法なので、いろいろな材料に対応出来たり、高精度な加工が出来たりします。これが長所なのですが、短所でも、、刃先でしか加工出来ないので簡単な形状でも長〜い距離を小さな刃先が仕事をしなければならない。なのでどんどん摩耗して行きます。セラミクスでもダイヤモンドでも摩耗するので止められません。でも上記の事をよく理解してれば一定に条件を整えると味方を生み出す事が出来て「構成刃先」と呼ばれています。切削加工される人でも嫌ってらっしゃる方が圧倒的多数だと思いますが、構成刃先が上手にコントロール出来ると切削プロセス内で生成と離脱を小さく繰り返して、キレイな刃先を維持する事が有りますので、役に立っている時も有るかと思います。だから使ったチップはルーペでよーく観察します。全周均一に理想磨耗になったか?異常な構成刃先が生成されていないか?カーボンの付着具合はどうか?ブレーカーへの当たり方はどうか?等々とても気になります。キリコの色合いやカタチ、重さや粘さが気になったり、側から見たら変な人です。
鍛造と両方経験しましたが、コントロールの難しさで考えると究極の塑性域加工は切削かも知れません。