Helicoは元々、ヘッダーのクロスシャフトを分解し傘歯ベベルギヤを外し床にギヤ側を上に向け置き休憩した際に「これがボルトの駆動部だったら・・」と思ったのがきっかけで、ヘリカルベベルギア形状ではオス↔メスでの駆動が出来ないので、ボルトとして左右駆動出来るようヘリカル部のエッセンスだけ残したのが花形ねじ頭部になります。

ヘリカル駆動部なので「Helico」としています。・・Helico=ギリシャ語で空間螺旋を表す単語です。

ヘキサロビュロが二次元上の面フィットであったのに対して、三次元上の面を利用し駆動する方法としています。利点は同じ駆動高さなら落差と曲面長さを利用していますので駆動面を大きく取れます。また、二次元上の接触では応力も同一平面上に展開されますが、Helicoでは球面に沿いそれぞれの駆動位置で分散されますので、ボルト駆動部が変形しにくくなっています。下の上面図ではごく普通の花形工具に見えますが、アイキャッチに使用した斜視図にすると駆動部長さが長くなっている事が確認出来るかと思います。

上面からはごく普通の花形工具です。

特徴はヘリカルの角度、断面で確認出来るように駆動位置がほぼ45度となるよう設計しています。・・単純に一番長くなる位置にしてあります。
球面で接触している事と、通常20度前後のフランジ角に対し角度を大きく取っていますので、マグネット工具にした際の中心安定性が極めて高くなっています。

断面
マグネット付き工具試作品
試作02工具(3Dプリンターが無いのでビニールテープと瞬間接着剤でマグネットを固定しています)

将来的にはマグネットの位置に発振器を仕込めると正確な軸力で締結作業が出来るのですが、ここはいろいろな意味で大きく取りたい部位です。

Helico試作工具02駆動部クリアランス

円弧を利用した面フィットになりますので、駆動部↔工具駆動面のRサイズや位置関係変えれば締付け感や工具離脱性を調整出来ますが、試作工具02では同Rサイズ中心からの距離+0.1、左右クリアランス片側+0.1設計しました。締付け感はごく普通で工具離れも問題ありません。クリアランスは駆動部高さの低いHelico試作01に対しては多すぎたように感じます。(駆動部の低いHelicoに左右のクリアランスはさほど必要が無い気がします。)
形状的にクリアランスを詰め食い付かせてしまっても問題無さそうなので、食い付きタイプも設計してみます。・・・因みに、製造時に使用したパンチには食い付かず落下してしまうので離型性が良い形状なのかも知れません。

*アイキャッチ画像の工具応力分布にて座面に応力が発生してしまっていますが、Fusion360での解析のブレで少し離して解析してもボルトと工具が密着してしまうので気にしないでください。モーメント応力しか加えていませんので座面に応力は発生しません。