弊社が取得した特許の請求の範囲では請求項1から全て従属して請求がされているので、何を権利化したのかは請求項1の形状が基本となりますので、請求項1の形状を説明します。


【請求項1】  頭部と軸部を備え、前記頭部の上面は、中央に形成され、下に凹んだ湾曲形状の凹み部と、前記凹み部に連 続的に接続され、前記凹み部から径方向の外側に向かって上昇しその後下降するように形 成された、上に凸に湾曲する湾曲部と、を有し、前記頭部の上面は、前記凹み部に対する 高さが互いに異なる複数種類の前記湾曲部を有している 、ボルト。 


頭部と軸部を備えたボルトで、頭部上面の中央にはドーム状凹みを有し、そのドームに連続するよう外側に凸型のアーチが配置され、外側アーチの外径側は下に傾斜する形状で無ければならない。また、前記湾曲形状と同内容の湾曲形状にて複数の高さの異なる湾曲部を設置しなければならない。

基本的に設計で使えるのはこの範囲で、例えば中央の凹みをフラットな形状に設計した場合は他の権利に抵触する可能性があるので注意が必要・・実際に存在します。
ただ、アーチ作用の説明で書いていますが、フラットな凹みでは圧縮応力によるアライメント保持が成立しない事になります。
補正により請求項13が請求項1に追加された凹みドームとアーチとの「連続的に接続して」について、出願前に提出したレポートでは接円弧としていましたので当然連続した線だったのですが、出願書にまとめる打合せの中で範囲を広げる意味で請求項13に「なだらかに接続する」として記載しました。
これもアーチ作用のページで説明させて頂いていますが、上面に発生する強い圧縮応力に耐える為には連続的に接続していなければならないので請求項1にての記載で問題有りませんが、強度等が関係無くデザイン性や駆動部を設計する必要がある場合は制限となります。ただ、ボルトのデザインは殆んどが出願されていますので、新規性にて権利化するので有れば範囲を限らなければ難しいと思います。当出願で特許庁より類似形状とされた文献はいずれも当出願とは違う形状ですが、請求項1に明確に湾曲部が連続的に接続してと明記されていなかったので拒絶理由となっていました。
当出願はたまたま範囲を広げるために請求項1に記載しなかった内容なので良いですが、請求項1に記載するクレームは一番押さえたい内容だと思いますので、なるべくは補正しない方が良いと思います。

以上、当出願のポイントとなる部分の説明でした。

請求項2以下は、請求しておいた方が良い内容が従属して書かれて行きます。

請求項2で記載されているせん断線については発明?発見?した部分で請求項3と合わせてボルトでのアーチ構造を成立させるために必要で、この位置にせん断線が有れば、軸力は向きを90度変更し頭部外周に向かって行きます。首下長さの短い全ねじボルトでは大切な事なので請求項1〜3までがもっとも権利化する必要性が有る発明の主になる部分です。

上の動画のようなイメージが請求項1〜3となります。(軸力から向きを変える付近はまだ偏位速度が速いのでスライダーでコマ送りにして視聴していただくと解りやすいかと存じます)

誰も主張していない構造に対して請求項3でわざわざ「略45度」とした理由も分かって頂けるかと存じます。特許法では「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」(第2条第1項)と定義されています。

そして請求項1から3にかけてはこのボルトのカタチの特徴を表している請求となっていますが、権利化された物では「発見の容易性」が問われますので外観で識別しやすい事も大切です。

請求に書かれている文章ではイメージし難いと思いますが、読み方に慣れると理解出来るかと思います。弊社取得特許では上記動画の権利について短い文章で請求しています。
請求項について、イメージ頂けましたでしょうか?